ようこそこころあたたかいハートランド動物病院へ

ご挨拶

ハートランド動物病院院長  浦野 貴美代

 所属 日本獣医畜産大学外科学教室

研究内容:小動物のカルシウム結石症の病態とその解明、麻酔学、一般外科学、整形外科学など


マリとの出会い   

                             

  私が獣医師になろうと決心したのは、小学1年生の時です。可愛がっていたマリの突然死です。捨てられていたマリを私が保護し、どうしても飼ってほしいと両親に頼み、やっと許可をもらい、家族の一員となりました。その日以来、私はマリとはどこへ行くのも一緒でした。公園へ行くのも一緒、寝るのも一緒、ご飯を食べるのも一緒。     

たとえ、雨が降ろうと、強い風が吹こうと、私が学校から帰るのを、玄関の前で、ひたすら待ち続けるマリは、私の姿を見つけると、一目散に駆け寄り、かわいい声で鳴き、私は彼女を抱きしめては、暖かい温もりで私の心は優しく包まれ、どのような嫌なことがあっても、その温もりで心が癒やされました。

本当にとても頭の良い猫でした。

マリとの一番の思い出は、夕食時母が台所で料理していると、マリが緑の包装紙を引きずって母の足下に置き、にゃーにゃーと異常に鳴いているマリを心配で台所に駆けつけると、その包みを開けている母が「マリが持ってきたのよ。」とその中身を見たら、美味しそうな揚げたての数個のコロッケとメンチカツが入っていました。マリは食べ物には興味を示さず、私たちの為に持ってきたようでした。

マリは本当に人間のような不思議な感じを持つ猫でした。

ある日の夕方、ピアノの前に雀3羽、ネズミ3匹がきれいに並べて置いてあり、父と私が、マリはいったいどうしたのか?と頭を傾げていました。

次の日、その日は待ちに待った遠足。私は、楽しい遠足で、昨日のマリのことをすっかり忘れ、るんるん気分で家に帰ると、母が泣いていました。私はいったい何が起きたのかが解らず、そっと母に近づくと、座布団の上でマリが横たわっていました。「マリが死んだの?」と私は母にそっと聞いてみました。

母は「大きな息をして、たった今死んだの。貴美ちゃんの帰りをずっと待っていたのよ。きっと、貴美ちゃんの足音が聞こえて安心して、息を引き取ったのね。はやく動物のおいしゃさんに診せてあげればよかったね。ごめんね。マリ。」
と泣いていました。

私も涙が瞳からボロボロ溢れ出し、マリの姿がみれないくらに、泣きました。その時、私はマリのためにも、絶対に動物のおいしゃさんになろうと強い決心をしました。

その夕方、母と私とでマリを埋葬しました。今でもその光景が蘇りますと、目頭が熱くなります。

母はその夕食に私の好物の手作りの豚カツを作ってくれました。きっと私の気持ちを少しでも、癒やし、悲しみを取り除こうとしたのでしょう。父が会社から帰り、マリが死んだことを告げると、

「昨日の出来事は、きっと、貴美ちゃんへのマリからの感謝の気持ちなんだよ。あんなガリガリに痩せて、今にも死にそうなマリを助けた貴美ちゃんへのお礼なんだよ。きっとマリ、自分の死がわかり、苦しかっただろうに、家族にそんな姿を見せずに、こうして死んでいったマリは本当に頭の良い猫だったね。」と父も泣いていました。

残念ながら、マリの写真は一枚もないのですが、たとえ写真が無くても私と家族の心の中には、マリとの楽しい思い出がまるで宝物のように大事に保管されています。

こうして獣医師になれたのも、マリの力かもしれません。
だから、私は、マリのためにも、また、あらゆる動物たち、飼い主の皆様のためにも、いつも研究や勉強をし続け、何事にも挑戦し、また、動物へも人へも思いやる気持ちや優しい気持ちを忘れず、かつ皆様から信頼のある尊敬される獣医師になりたいと思っております。

お子さまにも読んで頂けましたら、とても嬉しく思います。

                         

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